[太]閉塞空間での人間の狂気を華麗に描き出す和製傑作ホラー。
こんにちは@fujitaijuです。
「天使の囀り」や「新世界より
」を読んで、すっかり貴志祐介ファンになってしまい、3冊めに手を出したのがこの「クリムゾンの迷宮
」。他の著作とは違い300ページと少し短めの作品となっています。
主人公の藤木が目覚めたところは火星のような赤い土や岩に囲まれた土地。「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された……」それは、血で血を洗う凄惨なゼロサム・ゲームの始まりだった。
『ゲームマスターの指示に従って行動していくうちに、人間が狂気に走る様を見せつけられ、極限状態に陥っていく様子はまさに圧巻。物語中盤では本当に自分が主人公になって追われている感覚になり、文字通り手に汗握る展開。
人間の「極限」について書かせたら貴志祐介を超える人はいないのではないでしょうか。得意の性描写やグロい表現も健在です。
シチュエーションとしては、アメリカ映画の「SAW」や「CUBE」などを思い浮かべてもらえれば良いと思います。「限られた空有間での人間ドラマ」は本当に手に汗握る展開で、一気に読みきってしまいました。
物語の最後がちょっと拍子抜けではありましたが、久しくホラーの名作に出会えていない人にはかなりおすすめできる名著です。